kazmax - Linux で自宅サーバー

shm_open - ライブラリコールの説明 - Linux コマンド集 一覧表

  1. 名前
  2. 書式
  3. 説明
  4. 返り値
  5. エラー
  6. 注意
  7. 準拠
  8. 関連項目

名前

shm_open, shm_unlink - POSIX 共有メモリ・オブジェクトの作成/オープンと削除 (unlink)

書式

#include <sys/types.h>
#include <sys/mman.h>
#include <fcntl.h> /* O_* 定数の定義用 */
void * shm_open(const char * name , int oflag , mode_t mode );
int shm_unlink(const char * name );

説明

shm_open ()は、POSIX 共有メモリ・オブジェクトを新規に作成しオープンしたり、 すでに存在するオブジェクトをオープンしたりする。 POSIX 共有メモリ・オブジェクトは、実際には、関係のないプロセスが 共有メモリの同じ領域を   mmap (2) するために使用することができる手段である。 shm_unlink ()は、逆の操作、つまり以前に shm_open ()で作成されたオブジェクトの削除を行う。

shm_open ()の動作は   open (2) とよく似ている。 name で作成したりオープンしたりする共有メモリ・オブジェクトを指定する。 移植性を持たせるためには、 name はスラッシュ (/) から始まるものにし、途中にはスラッシュを含まないように すべきである。

oflag はビットマスクで、 O_RDONLYO_RDWR のいずれか一方と、以下に述べる他のフラグの論理和をとったもの を指定する。

O_RDONLY
読み出しアクセス用にオブジェクトをオープンする。 このフラグを指定してオープンされた共有メモリ・オブジェクトは、 読み出し (PROT_READ ) アクセスでのみ   mmap (2) することができる。
O_RDWR
読み書きアクセス用にオブジェクトをオープンする。
O_CREAT
存在しない場合、共有メモリ・オブジェクトを作成する。 オブジェクトのユーザとグループの所有権は、 呼び出し元プロセスの対応する実効 ID が使われ、 オブジェクトの許可ビットは mode の下位 9 ビットに基づいて設定される。ただし、 ファイルモード作成マスク ( umask (2)参照) に設定されている値は、新規オブジェクトに関してはクリアされる。 mode を定義するために使用できるマクロ定数(群)は   open (2) に記載されている。
新規に作成された共有メモリ・オブジェクトは長さ 0 で初期化される。 オブジェクトの大きさは ftruncate (2)を使って設定できる。 共有メモリ・オブジェクトとして新規に確保されたバイトは自動的に 0 に初期化される。
O_EXCL
O_CREAT が一緒に指定されており、 name で指定された共有メモリ・オブジェクトが既に存在した場合、 エラーを返す。 オブジェクトの存在確認と、存在しなかった場合のオブジェクト作成は、 必ず一連の操作として実行される (performed atomically)。
O_TRUNC
共有メモリ・オブジェクトがすでに存在した場合、 そのオブジェクトを 0 バイトに切り詰める。

成功して完了した場合、 shm_open ()は共有メモリ・オブジェクトを参照する新しいファイル・ディスクリプタを返す。 このファイル・ディスクリプタは、そのプロセス内で過去にオープンされていない ファイル・ディスクリプタの中で最も小さな数になることが保証される。 FD_CLOEXEC フラグ ( fcntl (2)を参照) が、このファイル・ディスクリプタに設定される。

通常、これらのファイル・ディスクリプタは、この後続けて実行される ftruncate (2)(新規に作成されたオブジェクトの場合のみ) と   mmap (2) の呼び出しに使用される。   mmap (2) を呼び出した後は、ファイル・ディスクリプタをクローズしてもよく、 クローズしてもメモリ・マッピングに影響を与えることはない。

shm_unlink ()の動作は   unlink (2) とよく似ている: 共有メモリ・オブジェクト名を削除し、すべてのプロセスが処理対象の オブジェクトをアンマップした時点でオブジェクトの割り当てを解除し、 対応するメモリ領域の内容を破棄する。 shm_unlink ()が成功した後で、同じ name を持つオブジェクトに対して shm_open ()を行うと、 ( O_CREAT が指定されていない場合) 失敗する。 ( O_CREAT が指定されている場合、新しく別のオブジェクトが作成される)。

返り値

成功した場合、 shm_open ()は非負のファイル・ディスクリプタを返す。 失敗した場合、 shm_open ()は -1 を返す。 shm_unlink ()は、成功した場合 0 を、エラーが起こった場合 -1 を返す。

エラー

失敗した場合、エラーの原因を示すため errno が設定される。 errno に設定される値は以下の通りである:

EACCES
共有メモリオブジェクトを shm_unlink ()する権限がなかった。
EACCES
指定された modenameshm_open ()する権限がなかった。もしくは、 O_TRUNC が指定されたが、呼び出し元にはそのオブジェクトに対する書き込み権限が なかった。
EEXIST
O_CREATO_EXCL の両方が shm_open ()に指定されたが、 name で指定された共有メモリ・オブジェクトが既に存在した。
EINVAL
shm_open ()に与えられた name 引き数が不正であった。
EMFILE
プロセスがオープン可能なファイル数の上限にすでに達していた。
ENAMETOOLONG
name の長さが PATH_MAX を越えている。
ENFILE
ファイルシステムでオープンできるファイル数の上限に達した。
ENOENT
存在していない name のオブジェクトを shm_open ()しようとしたが、 O_CREAT が指定されていなかった。
ENOENT
存在しない name のオブジェクトを shm_unlink ()しようとした。

注意

これらの関数は glibc 2.2 以降で提供されている。 これらの関数を使ったプログラムでは、必要な ("realtime") ライブラリを リンクするために cc-lrt フラグを指定しなければならない。

POSIX は O_RDONLYO_TRUNC が一緒に指定された場合の動作を未定義にしている。Linux では、 既存の共有メモリ・オブジェクトに対する切り詰め (truncate) は成功する。 しかし、他の Unix システムでも同じであるとは限らない。

Linux 2.4 における POSIX 共有メモリ・オブジェクトの実装は 専用のファイルシステムを使用する。そのファイルシステムは通常 /dev/shm にマウントされる。

準拠

POSIX.1-2001.

POSIX.1-2001 には、新規に作成される共有メモリオブジェクトのグループ所有権は、 呼び出し元プロセスの実効グループ ID か 「システムのデフォルトのグループ ID」 のどちらかに設定される、と書かれている。

関連項目

  close (2),  fchmod (2), fchown (2),  fcntl (2),  fstat (2), ftruncate (2),  mmap (2),   open (2),   umask (2)