rpm - システム管理コマンドの説明 - Linux コマンド集 一覧表
名前
rpm - RPM パッケージマネージャ
書式
パッケージの検索と検査:
rpm
{
-q|--query
} [
select-options
] [
query-options
]
rpm
{
-V|--verify
} [
select-options
] [
verify-options
]
rpm --import
PUBKEY ...
rpm
{
-K|--checksig
} [
--nogpg
] [
--nopgp
] [
--nomd5
]
" PACKAGE_FILE" ...
パッケージのインストール・アップグレード・削除:
rpm
{
-i|--install
} [
install-options
]
PACKAGE_FILE ...
rpm
{
-U|--upgrade
} [
install-options
]
PACKAGE_FILE ...
rpm
{
-F|--freshen
} [
install-options
]
PACKAGE_FILE ...
rpm
{
-e|--erase
} [
--allmatches
] [
--nodeps
] [
--noscripts
]
[
--notriggers
] [
--repackage
] [
--test
]
PACKAGE_NAME ...
その他:
rpm
{
--initdb|--rebuilddb
}
rpm
{
--addsign|--resign
}
PACKAGE_FILE ...
rpm
{
--querytags|--showrc
}
rpm
{
--setperms|--setugids
}
PACKAGE_NAME ...
select-options(選択オプション)
[
PACKAGE_NAME
][
-a
,
--all
][
-f
,
--file
FILE
]
[
-g
,
--group
GROUP
]
[
-p
,
--package
PACKAGE_FILE
]
[
--fileid
MD5
]
[
--hdrid
SHA1
]
[
--pkgid
MD5
]
[
--tid
TID
]
[
--querybynumber
HDRNUM
]
[
--triggerdby
PACKAGE_NAME
]
[
--whatprovies
CAPABILITY
]
[
--whatrequires
CAPABILITY
]
query-options(検索オプション)
[
--changelog
][
-c
,
--configfiles
][
-d
,
--docfiles
][
--dump
]
[
--filesbypkg
][
-i
,
--info
][
--last
][
-l
,
--list
]
[
--provides
][
--qf
,
--queryformat
QUERYFMT
]
[
-R
,
--requires
]
[
--scripts
][
-s
,
--state
][
--triggers
,
--triggerscripts
]
verify-options(検査オプション)
[
--nodeps
][
--nofiles
][
--noscripts
][
--nodigest
]
[
--nosignature
][
--nolinkto
][
--nomd5
][
--nosize
]
[
--nouser
][
--nogroup
][
--nomtime
][
--nomode
][
--nordev
]
install-options(インストールオプション)
[
--aid
]
[
--allfiles
]
[
--badreloc
]
[
--excludepath
OLDPATH
]
[
--excludedocs
]
[
--force
]
[
-h
,
--hash
][
--ignoresize
]
[
--ignorearch
]
[
--ignoreos
][
--includedocs
]
[
--justdb
]
[
--nodeps
][
--nodigest
]
[
--nosignature
]
[
--nosuggest
]
[
--noorder
]
[
--noscripts
]
[
--notriggers
]
[
--oldpackage
]
[
--percent
]
[
--prefix
NEWPATH
]
[
--relocate
OLDPATH
=
NEWPATH
]
[
--repackage
]
[
--replacefiles
]
[
--replacepkgs
][
--test
]
説明
rpm は強力な パッケージマネージャ であり、個々のソフトウェアパッケージを ビルド・インストール・検索・検査・更新・削除するのに使うことができる。 パッケージ はファイルのアーカイブと、アーカイブされたファイルの インストール・アンインストールに使われるメタデータからなる。 メタデータは補助スクリプト、ファイル属性、 そしてパッケージの説明に関する情報からなる。 パッケージ には 2 種類ある。 インストールするためのソフトウェアをカプセル化するのに使われるバイナリ パッケージと、バイナリパッケージを生成するのに必要なレシピとソースコード からなるソースパッケージである。
以下の基本モードのいずれかが選択されなければならない: 検索 、 検査 、 署名の検査 、 インストール/アップグレード/更新 、 アンインストール 、 データベースの初期化 、 データベースの再作成 、 再署名 、 署名の追加 、 所有者/グループの設定 、 検索タグの表示 、 設定の表示 。
共通のオプション
次のオプションはすべてのモードで使用することができる。
- -? , --help
- 使い方を通常のものよりも長く表示する。
- --version
- 使用される rpm のバージョン番号からなる 1 行を表示する。
- --quiet
- できるだけ少なく表示する。 通常は、エラーメッセージだけが表示される。
- -v
- より多くの情報を表示する。 通常は、ルーチンの進捗メッセージが表示される。
- -vv
- 沢山の汚いデバッグ情報を表示する。
- --rcfile FILELIST
- コロン(`:')で区切られた FILELIST の各ファイルは、設定情報として rpm によって順番に読み込まれる。 FILELIST のデフォルトは /usr/lib/rpm/rpmrc : /usr/lib/rpm/redhat/rpmrc : ~/.rpmrc である。
- --pipe CMD
- rpm コマンドの出力を CMD へパイプする。
- --dbpath DIRECTORY
- データベースのパスに、デフォルトの /var/lib/rpm ではなく DIRECTORY を使う。
- --root DIRECTORY
- すべてのオプションに対し、 DIRECTORY をルートとしたファイルシステムを使う。 これは、 依存性のチェックとすべてのスクリプト(群) (例えば、パッケージインストール時の %post や、パッケージビルド時の %prep など)が DIRECTORY に chroot(2) した後で、 DIRECTORY 内にあるデータベースが使用されることを意味する。
インストールとアップグレードのオプション
rpm をインストールするコマンドの一般的な形式は:
rpm { -i|--install } [ install-options ] PACKAGE_FILE ...
これは新しいパッケージをインストールする。
アップグレードするコマンドの一般的な形式は:
rpm { -U|--upgrade } [ install-options ] PACKAGE_FILE ...
これは現在インストールされているパッケージを新しいバージョンに アップグレードするか、パッケージをインストールする。 新しいパッケージがインストールされたら他のすべてのバージョンのものが 削除されることを除けば、インストールと同じである。
rpm { -F|--freshen } [ install-options ] PACKAGE_FILE ...
これは以前のバージョンが、現在インストールされている場合にのみ パッケージを更新する。
PACKAGE_FILE には ftp または http の URL を指定することが可能で、その場合にはパッケージをインストールする前に ダウンロードする。 rpm 内部での ftp と http のサポートについての情報は FTP/HTTP オプション の節を参照のこと。
- --aid
- 指定されたパッケージを、必要があればトランザンクションに加える。
- --allfiles
- パッケージ内の missingok ファイルを、存在する/しないにかかわらず インストールまたはアップグレードする。
- --badreloc
- --relocate と一緒に使われると、パッケージ再配置のヒント(群)の中にその OLDPATH が含まれていなくても、すべてのファイルパスの再配置を許可する。
- --excludepath OLDPATH
- パスの名前が OLDPATH で始まるファイルをインストールしない。
- --excludedocs
- (man ページ、tenxinfo 文書を含めた)文書であるとマーク付されたファイルを インストールしない。
- --force
- --replacepkgs , --replacefiles , --oldpackage の組み合わせに同じ。
- -h , --hash
- パッケージアーカイブから取り出されるにつれ、50個のハッシュマーク("#") を表示する。 -v|--verbose と一緒に使えば、よりよい表示が得られる。
- --ignoresize
- パッケージをインストールする前に、ディスクに十分な空きがあるかの チェックをファイルシステムに対して行わない。
- --ignorearch
- バイナリパッケージのアーキテクチャと、そのホストのアーキテクチャが 一致しなくても、インストールやアップグレードを行う。
- --ignoreos
- バイナリパッケージのOSと、そのホストのOSが一致しなくても、 インストールやアップグレードを行う。
- --includedocs
- 文書ファイルをインストールする。これはデフォルトの動作である。
- --justdb
- データベースだけを更新し、ファイルシステムを更新しない。
- --nodigest
- 読み込み時にパッケージまたはへッダのダイジェストを検査しない。
- --nosignature
- 読み込み時にパッケージまたはへッダの署名を検査しない。
- --nodeps
- パッケージのインストールやアップグレードの前に、依存性のチェックをしない。
- --nosuggest
- 不明な依存性を解消するパッケージ(群)を提案しない。
- --noorder
- パッケージのインストール順を変更しない。 通常は依存性を満たすために、パッケージのリストは並び替えられる。
- --noscriopts
- --nopre
- --nopost
- --nopreun
- --nopostun
-
それぞれ同じ名前を持ったスクリプトを実行しない。
--noscripts
オプションは
"--nopre --nopost --nopreun --nopostun"
に等しく、対応する %pre , %post , %preun , %postun スクリプト(群)を実行しない。 - --notriggers
- --notriggerin
- --notriggerun
- --notriggerpostun
-
指定された種類のトリガースクリプトを実行しない。
--notriggers
オプションは
"--notriggerin --notriggerun --notriggerpostun"
に等しく、対応する %triggerin , %triggerun , %triggerpostun スクリプト(群)を実行しない。 - --oldpackage
- 新しいパッケージをそれより古いパッケージでアップグレードできるようにする。
- --percent
- パッケージアーカイブからファイルが取り出されるにつれて、 その割合をを表示する。 これは rpm が他のツールから実行されるのを容易にすることを意図している。
- --prefix NEWPATH
- 再配置可能なバイナリパッケージにおいて、パッケージの再配置ヒント(群)にある インストールプレフィックスで始まるファイルのパスを、 NEWPATH に置き換える。
- --reloacte OLDPATH = NEWPATH
- 再配置可能なバイナリパッケージにおいて、パッケージの再配置ヒント(群)にある OLDPATH で始まるファイルのパスと NEWPATH で置き換える。 パッケージ内で、複数の OLDPATH が再配置されなければならないのなら、 このオプションを繰り返し指定することができる。
- --repackage
- ファイルを削除する前に再パッケージする。 以前にインストールされていたパッケージは、マクロ %_repackage_name_fmt によって名付けられ、マクロ %_repackage_dir (デフォルトは /var/spool/repackage ;訳注: /usr/lib/rpm/macros では /var/spool/repackage に設定されている) で指定されたディレクトリに作成される。
- --replacefiles
- 既にインストールされた他のパッケージのファイルを置き換えてしまう場合でも、 パッケージをインストールする。
- --replacepkgs
- 指定されたパッケージのうちのいくつかがシステムに既にインストール されていても、パッケージをインストールする。
- --test
- パッケージをインストールせず、単にチェックと、 潜在的な衝突の報告を行う。
削除のオプション
rpm を削除するコマンドの一般的な形式は:
rpm
{
-e|--erase
} [
--allmatches
] [
--nodeps
] [
--noscripts
]
[
--notriggers
] [
--repackage
] [
--test
]
"PACKAGE_NAME ..."
以下のオプションが使用できる:
- --allmatces
- PACKAGE_NAME に一致するすべてのバージョンのパッケージを削除する。
- --nodeps
- パッケージをアンインストールする前に依存性のチェックをしない。
- --noscripts
- --nopreun
- --nopostun
-
それぞれ同じ名前を持ったスクリプトを実行しない。
--noscripts
オプションは
"--nopreun --nopostun"
に等しく、対応する %preun と %postun スクリプト(群)を実行しない。 - --notriggers
- --notriggerun
- --notriggerpostun
-
指定された種類のトリガースクリプトを実行しない。
オプション
--notriggers
は
"--notriggerun --notriggerpostun"
に等しく、対応する %triggerun と %triggerpostun スクリプト(群)を実行しない。 - --repackage
- ファイルを削除する前に再パッケージする。 以前にインストールされていたパッケージは、マクロ %_repackage_name_fmt によって名付けられ、マクロ %_repackage_dir (デフォルトは /var/spool/repackage ;訳注: /usr/lib/rpm/macros では /var/spool/repackage に設定されている) で指定されたディレクトリに作成される。
- --test
- 実際には何もアンインストールせず挙動だけを見せる。 オプション -vv と共に使えばデバッグに有効である。
検索オプション
rpm 検索の一般的な形式は:
rpm { -q|--query } [ select-options ] [ query-options ]
表示されるパッケージ情報の書式を指定することができる。
そうするためには、
--qf|--queryformat
QUERYFMT
オプションを使う。 QUERYFMT が書式文字列である。検索の書式は、標準的な printf(3) の書式の修正である。書式は静的な文字列 (改行・タブ・その他の特殊文字の、C 言語の標準的な文字エスケープを含む)と、 printf(3) 型の書式文字列からなる。 しかし rpm は表示する型を既に知っているので、型指定は省略されるべきである。 代わりに {} で囲まれた、表示されるへッダーのタグ名が使用される。 タグ名に大文字/小文字の区別はなく、タグ名の先頭の RPMTAG_ 部分も省略することができる。
以下の : typetag を付加したタグによって、代替の出力書式を要求できる。 現在、以下の種別がサポートされている:
- :armor
- 公開鍵をASCII文字で表示する。
- :base64
- バイナリデータを base64 で符号化する。
- :date
- strftime(3)の "%c" 書式を使う。
- :day
- strftime(3)の "%a %b %d %Y" 書式を使う。
- :depflags
- 依存フラグで表示。
- :fflags
- ファイルフラグで表示。
- :hex
- 16進数で表示。
- :octal
- 8進数で表示。
- :perms
- ファイルの許可属性で表示。
- :shescape
- スクリプト内で使えるようにシングルクォート(')でエスケープする。
- :triggertype
-
トリガーの種類を表示。
例えば、検索結果のパッケージ名だけを表示したければ、書式文字列として %{NAME} を使えばよい。 2 カラムでパッケージ名とディストリビューション情報を表示したければ %-30{NAME}%{DISTRIBUTUIN} を使えばよい。 (訳注: 端末によっては末尾に \n が必要である)。 引数 --querytags をつけて rpm を実行すれば、使用できるタグすべてを表示することができる。
検索のためのオプションは2種類に分けられる。 パッケージの選択と、(訳注: 表示するための)情報の選択である。
- PACKAGE_NAME
- インストールされている PACKAGE_NAME という名前のパッケージを検索する。
- -a , --all
- インストールされているすべてのパッケージを検索する。
- -f , --file FILE
- FILE を所有するパッケージを検索する。
- --fileid MD5
- 与えられたファイル識別子、 すなわち MD5 ダイジェストを持つファイルを含むパッケージを検索する。
- -g , --group GROUP
- グループが GROUP であるパッケージを検索する。
- --hdrid SHA1
- 与えられたへッダー識別子、 すなわち書き換え不可能なへッダ領域に SHA1 ダイジェストををもつパッケージを検索する。
- -p , --package PACKAGE_FILE
- (インストールされていない)パッケージ PACKAGE_FILE を検索する。 PACKAGE_FILE には ftp または http の URL 形式で指定することができ、 その場合にはパッケージへッダーがダウンロードされて検索される。 ftp と http のクライアントに関する rpm 内部でのサポートについては "FTP/HTTP OPTIONS" を参照のこと。 PACKAGE_FILE 引数(群)がバイナリパッケージでなければ、それが ASCII 形式の パッケージのリストを表わすものと解釈される。 パッケージのリストファイルでは、'#' で始まる行はコメントである。 各行には空白で区切ったパス名展開式が指定可能で、 展開されたパスは、検索する PACKAGE_FILE 引数への追加として置換される。 パス名展開式には URL のリモートのパス名展開も使うことができる。
- --pkgid MD5
- 与えられたパッケージ識別子、 すなわちへッダーと内容物との組み合わせが MD5 ダイジェストををもつパッケージを検索する。
- --querybynumber HDRNUM
- データベースの HDRNUM 番目のエントリを直接検索する。 デバッグにのみ有効である。
- --specfile SPECFILE
- SPECFILE をそれがパッケージであるかのように解析し、検索する。 すべての情報が利用できるわけではない(たとえばファイル一覧)にもかかわらず、 spec ファイルの解析器を書くこと無しに spec ファイルから情報を取り出すことが この種の検索で可能である。
- --tid TID
- 与えられたトランザクション識別子 TID を持つパッケージ(群)を検索する。 現在のところ、unix 時間がトランザクション識別子として使われている。 一つのトランザクションでインストール・削除されたパッケージ(群)は、 すべて共通の識別子を持つ。
- --triggerdby PACKAGE_NAME
- パッケージ(群) PACKAGE_NAME によってトリガーされるパッケージを検索する。
- --whatprovides CAPABILITY
- CAPABILITY 能力を提供するパッケージを検索する。
- --whatrequires CAPABILITY
- 適切に機能するために CAPABILITY を必要とするパッケージを検索する。
- --changelog
- パッケージの更新情報を表示する。
- -c , --configfiles
- 設定ファイルのみを表示する ( -l を指定したものとみなす)。
- -d , --docfiles
- 文書ファイルのみを表示する ( -l を指定したものとみなす)。
- --dump
-
以下の形式でファイル情報をダンプする。
パス サイズ 修正時刻 md5ダイジェスト モード \ 所有者 グループ 設定ファイル 文書ファイル \ ルートデバイス シンボリックリンク
このオプションは -l , -c , -d のうちの少なくとも一つと共に使用されなければならない。 - --filesbypkg
- 選択されたパッケージごとにファイルを表示する。
- -i , --info
- 名前、バージョン、説明を含めたパッケージ情報を表示する。 これは --queryformat を内部で使用している。
- --last
- パッケージをインストール時刻順に、 最新のパッケージが先頭になるような順で並べる。
- -l , --list
- パッケージ内にあるファイルを表示する。
- --provides
- そのパッケージが提供する能力を表示する。
- -R , --requires
- そのパッケージが依存するパッケージを表示する。
- --scripts
- インストール・アンインストールの過程で使用される、 パッケージ固有のスクリプトを表示する。
- -s ", " --state
- パッケージ内のファイルの 状態 を表示する ( -l を指定したものとみなす)。 各ファイルの状態は normal(正常) , not installed(インストールされていない) , "replaced(置き換えられた)" のいずれかである。
- --triggers , --triggerscripts
- パッケージにトリガースクリプトが含まれれば表示する。
検査オプション
rpm を検査するコマンドの一般的な形式は:
rpm { -V|--verify } [ select-options ] [ verify-options ]
パッケージの検査では、 パッケージ内のインストールされたファイルに関する情報と、 rpm データベースに格納されているパッケージのメタデータから得られた ファイルに関する情報とを比較する。 とりわけ、ファイルのサイズ、MD5 チェックサム、許可属性、タイプ、 所有者、グループを比較する。 インストール時に --excludedocs オプションを使ったために除外された文書ファイルのように、 パッケージからインストールされていないファイルは静かに無視される。
パッケージ選択オプションは、パッケージ検索のためのものと (パッケージのリストファイルを引数に指定できることも含め) 一緒である。 その他の、検査モード固有のオプションは:
- --nodeps
- パッケージの依存性について検査しない。
- --nodigest
- 読み込み時にパッケージやへッダーのダイジェスト値を検査しない。
- --nofiles
- パッケージ内のファイルのいかなる属性も検査しない。
- --noscripts
- %verifyscript がもし存在しても実行しない。
- --nosignature
- 読み込み時にパッケージやへッダーの署名を検査しない。
- --nolinkto
- --nomd5
- --nosize
- --nouser
- --nogroup
- --nomtime
- --nomode
- --nordev
-
それぞれ関連するファイル属性を検査しない。
出力の形式は 8 個の文字と属性マーク、その後ろにファイル名である。 パッケージのへッダーから得られる属性マークは:
- c
- %config 設定ファイル。
- d
- %doc 文書ファイル。
- g
- %ghost ファイル(すなわち、パッケージの内容物としては含まれていないファイル)。
- l
- %license ライセンスファイル。
- r
-
%readme
readme ファイル。
各 8 個の文字は、ファイルの属性とデータベースに記録されているその属性の 値との比較の結果を意味している。 一つの "." (ピリオド) はテストを通過したこと意味し、一つの "?" (クエスチョンマーク) はテストが実施されなかった (すなわち、ファイルパーミッションにより読み込めなかった) ことを意味する。でなかれば、 (記憶を助けるために、ボールド化 (em B oldened)されている)文字は関連する --verify テストに失敗したことを意味する:
- S
- ファイルのサイズ ( S ize)が異なる
- M
- モード ( M ode;許可属性とファイルの種類) が異なる
- 5
- MD 5 チェックサムが異なる
- D
- デバイス ( D evice)のメジャー/マイナー番号が一致しない
- L
- read L ink(2)したパスが一致しない
- U
- 所有者 ( U ser)が異なる
- G
- グループ ( G roup)が異なる
- T
- 修正時刻 (m T ime)が異なる
電子署名とダイジェストの検査
rpm の電子書名の一般的な形式は:
rpm --import
PUBKEY ...
rpm
{
-K|--checksig
} [
--nogpg
] [
--nopgp
] [
--nomd5
]
" PACKAGE_FILE ..."
--checksig オプションは、 パッケージの完全性と出所を確認するために PACKAGE_FILE に含まれるすべてのダイジェスト値と署名をチェックする。 現在ではパッケージが読み込まれたときはいつでも署名が検査される。 --checksig の方はパッケージに付随するすべてのダイジェスト値と署名を 検査するのに有効である。
公開鍵がなければ電子署名の検査はできない。 --import を使えば rpm データベースに ASCII 形式での公開鍵を追加できる。 取り込まれた公開鍵はあるへッダーへと運ばれ、 パッケージ管理のように厳密な鍵リング管理が実行される。 例として、その時点で取り込まれているすべての公開鍵は以下を実行することで 表示できる。
"rpm -qa gpg-publey*"(訳注: 多くの場合 "*" はシェルによってメタ文字として解釈されるので、 実際には rpm -qa "gpg-publey*" のようにクォーティングする必要がある)
取り込んだ、特定の公開鍵に関する詳細は検索によって表示することができる。 Red Hat の GPG/DSA 鍵に関する情報は:
"rpm -qi gpg-publey-db42a60e"
最後に、パッケージでそうできるように、取り込んだ公開鍵を削除することができる。 以下は Red Hat の GPG/DSA 鍵を削除する。
"rpm -e gpg-pubkey-db42a60e"
パッケージへの署名
rpm { --addsign|--resign } PACKAGE_FILE ...
オプション --addsign と --resign の両方とも、与えられた各パッケージ PACKAGE_FILE に対する新たな署名を生成・挿入し、既に存在する署名があれば置き換える。 歴史的な理由により二つのオプションが存在するが、 現在ではその動作に違いはない。
パッケージへの署名に GPG を使用する
GPG を使ってパッケージに署名するためには、 rpm が GPG を実行するように設定されていなければならず、また、 適切な鍵で鍵リングを探すことができなければならない。 rpm はデフォルトで、 GPG が鍵の環を探すのと同じ規則、すなわち環境変数 $GPGPATH を使用する。 GPG が期待する場所に鍵リングが無い場合には、 使用する GPG 鍵リングの場所を %_gpg_path マクロに設定する必要がある。
過去のバージョンの GPG, PGP, rpm との互換性のために、 V3 OpenPGP 署名パケットのみが設定されなければならない。 DSA と RSA の検査アルゴリズムのどちらも使うことができるが、 DSA の方が好ましい。
作成したパッケージに自分自身で署名できるようにしたければ、 公開鍵と秘密鍵のペアを作成しておくことも必要である (GPG のマニュアルを見ること)。 また、以下の rpm マクロを設定することも必要であろう。
- %_signature
- 署名の形式。 現在のところ gpg と pgp のみがサポートされている。
- %_gpg_name
-
パッケージに署名するのに使用したい鍵のユーザ名。
例えば、実行ファイルが /usr/bin/gpg で、鍵リングが /etc/rpm/.gpg にあり、その中のユーザ """John Doe <jdoe@foo.com>""" としてパッケージに GPG を使って署名する場合には
%_signature gpg %_gpg_path /etc/rpm/.gpg %_gpg_name John Doe <jdoe@foo.com> %_gpgbin /usr/bin/gpg
をマクロの設定ファイルに含めれば良い。 システム全体の設定には /etc/rpm/macros を、ユーザごとの設定には ~/.rpmmacros を使用する。
データベース再作成オプション
データベースを再作成するコマンドの一般的な形式は:
rpm
{
--initdb|--rebuilddb
} [
-v
] [
--dbpath DIRECTORY
]
[
--root DIRECTORY
]
新たなデータベースを作成する場合には --initdb を使い、インストールされているパッケージのへッダーから データベースのインデックスを再作成するには --rebuilddb を使用する。
SHOWRC
コマンド
"rpm --showrc"
は、 rpm が使用するすべてのオプションの値を表示する。 値はファイル rpmrc と macros で設定される。
FTP/HTTP オプション
インターネットからパッケージを検索したりインストールできるようにするために、 rpm は FTP と HTTP のクライアントとして動作することができる。 インストール、アップグレード、検索するパッケージファイルは 以下の ftp または http スタイルの URL で指定することができる。
ftp://USER:PASSWORD@HOST:PORT/path/to/package.rpm
もし :PASSWORD の部分が省略された場合には、パスワードが (ユーザ/ホスト名の組合わせごとに)尋ねられる。 ユーザとパスワードの両方が省略された場合には、 anonymous(匿名) ftp が使用される。すべての場合において パッシブ (PASV) ftp 転送が利用される。
ftp URL において、 rpm では次のオプションが可能である。
- --ftpproxy HOST
- プロキシを用いたファイアウォールを通してユーザが ftp できるように、 すべての ftp 転送にホスト HOST はプロキシサーバーとして使用される。 マクロ %_ftpproxy の設定でも、このオプションを指定することができる。
- --ftpport PORT
-
デフォルトのポートの代わりに、プロキシ ftp サーバの ftp 接続に使用する
TCP
PORT
(ポート)番号。
マクロ
%_ftpport
の設定でも、このオプションを指定することができる。
http URL において、 rpm では次のオプションが可能である。
- --httpproxy HOST
- すべての http 転送にホスト HOST はプロキシサーバーとして使用される。 マクロ %_httpproxy の設定でも、このオプションを指定することができる。
- --httpport PORT
- デフォルトのポートの代わりに、http プロキシサーバの接続で使用する TCP PORT (ポート)番号。
過去の遺産
rpmbuild の実行
rpm のビルドモードは、現在では /usr/bin/rpmbuild に含まれる。 過去との互換性は以下の popt によるエイリアスによって提供され、 それはまずまずではあるが完全ではない。 よって popt のエイリアスを使ったビルドモードの互換性は、 rpm から取り除かれつつある。 以前の rpm (8) に記述されていた rpm ビルドモードについてのすべての文書は、 rpmbuld パッケージをインストールし rpmbuild (8) を参照すること。
これからも rpm のコマンドラインから rpmbuild を呼び出したければ、以下の行を /etc/popt に加えればよい。
rpm exec --bp rpmb -bp rpm exec --bc rpmb -bc rpm exec --bi rpmb -bi rpm exec --bl rpmb -bl rpm exec --ba rpmb -ba rpm exec --bb rpmb -bb rpm exec --bs rpmb -bs rpm exec --tp rpmb -tp rpm exec --tc rpmb -tc rpm exec --ti rpmb -ti rpm exec --tl rpmb -tl rpm exec --ta rpmb -ta rpm exec --tb rpmb -tb rpm exec --ts rpmb -ts rpm exec --rebuild rpmb --rebuild rpm exec --recompile rpmb --recompile rpm exec --clean rpmb --clean rpm exec --rmsource rpmb --rmsource rpm exec --rmspec rpmb --rmspec rpm exec --target rpmb --target rpm exec --short-circuit rpmb --short-circuit
ファイル
rpmrc 設定
/usr/lib/rpm/rpmrc /usr/lib/rpm/redhat/rpmrc /etc/rpmrc ~/.rpmrc
マクロ設定
/usr/lib/rpm/macros /usr/lib/rpm/redhat/macros /etc/rpm/macros ~/.rpmmacros
データベース
/var/lib/rpm/Basenames /var/lib/rpm/Conflictname /var/lib/rpm/Dirnames /var/lib/rpm/Filemd5s /var/lib/rpm/Group /var/lib/rpm/Installtid /var/lib/rpm/Name /var/lib/rpm/Packages /var/lib/rpm/Providename /var/lib/rpm/Provideversion /var/lib/rpm/Pubkeys /var/lib/rpm/Removed /var/lib/rpm/Requirename /var/lib/rpm/Requireversion /var/lib/rpm/Sha1header /var/lib/rpm/Sigmd5 /var/lib/rpm/Triggername
一時ファイル
/var/tmp/rpm*
関連項目
popt (3), rpm2cpio (8), rpmbuild (8),
http://www.rpm.org/
著者
Marc Ewing <marc@redhat.com> Jeff Johnson <jbj@redhat.com> Erik Troan <ewt@redhat.com>