wordexp - ライブラリコールの説明 - Linux コマンド集 一覧表
名前
wordexp, wordfree - posix シェルのように単語の展開を行う
書式
"#include <wordexp.h>"
int wordexp(const char *
s
, wordexp_t *
p
, int
flags
);
void wordfree(wordexp_t *
p
);
説明
関数 wordexp ()はシェルのように文字列 s を展開し、 p で指し示す構造体に結果を返す。 データ型 wordexp_t は少なくともフィールド we_wordc , we_wordv , we_offs を持つ構造体である。 フィールド we_wordc は size_t であり、 s を展開した結果に単語がいくつあるかを表す。 フィールド we_wordv は char ** であり、見つかった単語の配列を指し示す。 size_t 型のフィールド we_offs は、 we_wordv 配列にある初期要素のうちいくつが NULL で埋められるべきかを表すのに使われたりする ( flags により決定される。下記を参照。)。
関数
wordfree
()は割り当てたメモリを再度解放する。
より正確にいうと、この関数はその引き数を解放するのではなく、
配列
we_wordv
とそれが指し示す文字列を解放する。
例
最初に簡単な例を示す。 出力はだいたい "ls [a-c]*.c" と同じになる。
#include <stdio.h> #include <wordexp.h>
int main(int argc, char **argv) { wordexp_t p; char **w; int i;
wordexp("[a-c]*.c", &p, 0); w = p.we_wordv; for (i=0; i<p.we_wordc; i++) printf("%s\n", w[i]); wordfree(&p); return 0; }
詳細
文字列引き数
この展開はシェルによるコマンドのパラメータの展開 ( sh (1)を参照) と同じであるので、文字列 s はシェルコマンドパラメータで不正とされる文字を含んではならない。 特にエスケープしていない改行、|, &, ;, <, >, (, ), {, } 文字を コマンド置換やパラメータ置換の場面以外に含めてはならない。
引き数
s
にクォートしていないコメント文字 # で始まる単語が含まれている場合には、
その単語とそれ以降の単語が無視されるか、
それとも # がコメント文字として扱わないかは、規定されていない。
展開
実行される展開は、以下の段階で構成される: チルダ展開 (~user を user のホームディレクトリに置き換える)、 変数展開 ($FOO を環境変数 FOO の値に置き換える)、 コマンド展開 ($(command) または `command` を command の出力で置き換える)、 算術展開、フィールド分割、ワイルドカード展開、クォートの除去。
特殊なパラメータ ($@, $*, $#, $?, $-, $$, $!, $0) の 展開結果は規定されていない。
フィールド分割は環境変数 $IFS を用いて行われる。
この環境変数が設定されていない場合、
フィールド区切り文字はスペース・タブ・改行である。
出力される配列
配列
we_wordv
は見つかった単語をを含み、最後に NULL が続く。
flags 引き数
flags 引き数は以下の値のビット包含的 OR である:
- WRDE_APPEND
- 見つかった単語を前回の呼び出し結果の配列に追加する。
- WRDE_DOOFFS
- 初期状態である we_offs 個の NULL を配列 we_wordv に挿入する (これらは返される we_wordc にはカウントされない)。
- WRDE_NOCMD
- コマンド置換を行わない。
- WRDE_REUSE
- 引き数 p は前回の wordexp ()の呼び出し結果であり、 wordfree ()が (まだ) 呼び出されない。 割り当てられた領域を再利用する。
- WRDE_SHOWERR
- 通常はコマンド置換のときに stderr が /dev/null にリダイレクトされる。 このフラグは stderr をリダイレクトしないように指定する。
- WRDE_UNDEF
- 未定義のシェル変数を展開しようとした場合に、エラーとして扱う。
返り値
成功した場合は 0 が返される。 エラーの場合は以下の 5 つの値のうちの 1 つが返される。
- WRDE_BADCHAR
- 改行または |, &, ;, <, >, (, ), {, } のうちの 1 つが不正に出現した。
- WRDE_BADVAL
- 未定義のシェル変数が参照され、 かつ WRDE_UNDEF フラグでこれをエラーとして扱うように指示されている。
- WRDE_CMDSUB
- コマンド置換が起こり、 かつ WRDE_NOCMD フラグでこれをエラーとして扱うように指示されている。
- WRDE_NOSPACE
- メモリが足りない。
- WRDE_SYNTAX
-
対応する括弧がない、クォートが合致しないといった、
シェルの書式エラー。
準拠
POSIX.1-2001