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udp - 約束事その他の説明 - Linux コマンド集 一覧表

  1. 名前
  2. 書式
  3. 説明
  4. アドレスのフォーマット
  5. エラー処理
  6. ソケットオプション
  7. IOCTL
  8. エラー
  9. バージョン
  10. 著者
  11. 関連項目

名前

udp - IPv4 の ユーザーデータグラムプロトコル

書式

#include <sys/socket.h>
#include <netinet/in.h>
udp_socket = socket(PF_INET, SOCK_DGRAM, 0);

説明

これは RFC768 で記述されている User Datagram Protocol の実装である。 UDP はコネクションレスの、信頼性の低いデータパケットサービスである。 パケットは到着前に並び替えられたり複製されたりする。 UDP は転送エラーを検出するためにチェックサムを生成・チェックする。
UDP ソケットが生成されるとき、 ローカルアドレスやリモートアドレスは指定されない。 正しい行き先アドレスを引数として sendto (2)や sendmsg (2)を呼べば、データグラムはただちに送信される。 ソケットに対して   connect (2) を呼ぶと、デフォルトの行き先アドレスが設定され、   send (2) や   write (2) を使って、行き先アドレスの指定なしにデータグラムを送信できるようになる。 この場合でも、行き先アドレスを sendto (2)や sendmsg (2)に渡せば、デフォルト以外のアドレスに送信可能である。 パケットを受信するために、まずソケットを   bind (2) を用いてローカルなアドレスにバインドさせることもできる。 そうでない場合は、ソケット層は自動的に net.ipv4.ip_local_port_range で定義されている範囲の外で空いているローカルなポートを割り当て、 ソケットを INADDR_ANY にバインドする。
受信動作はパケットを一つだけ返す。渡したバッファよりもパケットが 小さければ、そのパケットの大きさのデータだけが返される。 逆にバッファよりも大きい場合はパケットは丸められ、 MSG_TRUNC フラグがセットされる。 MSG_WAITALL はサポートしていない。
IP オプションは、   ip (7) に記述されているソケットオプションを用いて読み書きできる。 これらは適切な sysctl が有効な場合に限ってカーネルによって処理される (しかし無効になっている場合でもユーザーには渡される)。   ip (7) を参照のこと。
MSG_DONTROUTE フラグが送信時にセットされている場合には、 行き先アドレスはローカルなインターフェースアドレスから 参照できなければならない。パケットはそのインターフェースにしか送られない。
パケットの総長がインターフェースの MTU (Maximum Transmission Unit) よりも大きいと、UDP はそのパケットをフラグメント化する。 よりネットワークとの相性が良い別法は、   ip (7) の IP_MTU_DISCOVER セクションで記述されている Path MTU Discovery を用いることである。

アドレスのフォーマット

UDP は IPv4 の sockaddr_in アドレスフォーマットを用いる。これは   ip (7) に記述されている。

エラー処理

致命的なエラーは、たとえソケットが接続されていなくても、 すべてエラー戻り値としてユーザーに渡される。 これにはネットワークから受け取る非同期エラーも含まれる。 同じソケットを使って送信した昔のパケットに関するエラーを受け取るかもしれない。 この振る舞いは他の BSD ソケットの実装の多くとは異なる。 これらではソケットが接続されていない場合はエラーを全く返さない。 Linux の振る舞いは RFC1122 での指定に従ったものである。
Linux 2.0 と 2.2 では、古いコードとの互換性のために、 SO_BSDCOMPAT SOL_SOCKET オプションを設定すれば、ソケットが接続されている 場合に限ってリモートのエラーを受信するようにできた ( EPROTOEMSGSIZE を除く)。 ローカルで生成されたエラーは常に渡される。 このソケットオプションのサポートはそれ以降のバージョンの Linux で 削除された。詳細は   socket (7) を参照。
IP_RECVERR オプションが有効になっていると、 すべてのエラーはソケットのエラーキューに保存される。 これは MSG_ERRQUEUE フラグをセットして recvmsg (2)を呼べば受信できる。

ソケットオプション

UDP ソケットオプションを設定または取得するには、 取得には   getsockopt (2) を、設定には setsockopt (2)をオプションレベル引数に IPPROTO_UDP を指定して呼び出す。

UDP_CORK (Linux 2.5.44 以降)
このオプションが指定されると、このソケットの全てのデータ出力は 一つのデータグラムに蓄積され、このオプションが無効化された時に 送信される。 このオプションは移植性を考慮したコードでは用いるべきではない。

IOCTL

以下に示す ioctl は   ioctl (2) を使ってアクセスできる。 正しい文法は以下の通り。


int value;error = ioctl(udp_socket, ioctl_type, &value);

FIONREAD ( SIOCINQ )
integer のポインタを引数として取る。 次に待機しているデータグラムのサイズをバイト単位の整数で返す。 待機しているデータグラムがない場合は 0 を返す。
TIOCOUTQ ( SIOCOUTQ )
ローカル送信キューにあるデータサイズをバイト単位で返す。 Linux 2.4 以上でのみ対応している。

さらに、   ip (7) と   socket (7) で述べられている全ての ioctl も対応している。

エラー

  socket (7) や   ip (7) に記述されている全てのエラーが、 UDP ソケットの送受信で返される可能性がある。

ECONNREFUSED
行き先アドレスに関連づけられている受信者がいない。 これは以前のパケットがそのパケットを 上書き送信してしまっているからであることが多い。

バージョン

IP_RECVERR は Linux 2.2 の新しい機能である。

著者

この man ページは Andi Kleen が書いた。

関連項目

  ip (7),   raw (7),   socket (7) 
RFC768 : User Datagram Protocol
RFC1122 : ホストの必要条件
RFC1191 : path MTU discovery の記述