msgget - システムコールの説明 - Linux コマンド集 一覧表
名前
msgget - メッセージ・キュー識別子を取得する
書式
#include <sys/types.h> #include <sys/ipc.h> #include <sys/msg.h>
int msgget(key_t key , int msgflg );
説明
msgget ()システムコールは key 引き数の値に対応するメッセージ・キューの識別子を返す。 key の値が IPC_PRIVATE の場合、または key が IPC_PRIVATE でなくても、 key に対応するメッセージ・キューが存在せず、 msgflg に IPC_CREAT が指定されている場合、 新しいメッセージ・キューが作成される。
msgflg に IPC_CREAT と IPC_EXCL の両方が指定された場合、 key に対応するメッセージ・キューが既に存在すると、 msgget ()は失敗し、 errno に EEXIST が設定される。 (これは open (2) に O_CREAT | O_EXCL を指定した場合の動作と同じである)
メッセージ・キューの作成時に、 msgflg 引き数の下位 9 ビットは、 そのメッセージ・キューのアクセス許可の定義として使用される。 これらの許可ビットは open (2) の引き数 mode と同じ形式で同じ意味である。 や creat (2)システム・コールのアクセス許可パラメータと同じ形式で、同じ意味を持つ。 (但し、実行 (execute) 許可は使用されない。)
新規のメッセージ・キューを作成する際、
msgget
()システム・コールはメッセージ・キューのデータ構造体
msqid_ds
を以下のように初期化する
(
msqid_ds
については
msgctl
(2) を参照):
msg_perm.cuid
と
msg_perm.uid
に呼び出し元プロセスの実効 (effective) ユーザーID を設定する。
msg_perm.cgid
と
msg_perm.gid
に呼び出し元プロセスの実効 (effective) グループID を設定する。
msg_perm.mode
の下位 9 ビットは
msgflg
の下位 9 ビットを設定する。
msg_qnum
,
msg_lspid
,
msg_lrpid
,
msg_stime
,
msg_rtime
に 0 を設定される。
msg_ctime
に現在の時刻を設定する。
msg_qbytes
に、システムで決められたメッセージ・キューの最大サイズ
MSGMNB
を設定する。
メッセージ・キューがすでに存在する場合は、アクセス許可の検査と、 破棄 (destruction) マークがないかの確認が行われる。
返り値
成功した場合、返り値はメッセージ・キュー識別子 (非負の整数) となる。 失敗した場合は -1 が返され、 errno にそのエラーが示される。
エラー
失敗した場合、 errno に以下の値のいずれか一つが設定される:
- EACCES
- key に対応するメッセージ・キューは存在するが、 呼び出し元プロセスはそのキューに対するアクセス許可がなく、 CAP_IPC_OWNER ケーパビリティも持っていない。
- EEXIST
- key に対応するメッセージ・キューが存在し、 msgflg に IPC_CREAT と IPC_EXCL が指定されていた。
- ENOENT
- key に対応するメッセージ・キューが存在せず、 msgflg に IPC_CREAT が指定されていなかった。
- ENOMEM
- メッセージ・キューを作成しようとしたが、新しいデータ構造体を作成 するのに十分なメモリがシステムに存在しない。
- ENOSPC
- メッセージ・キューを作成しようとしたが、作成すると システム全体のメッセージ・キュー数の最大値 ( MSGMNI )を超えてしまう。
注意
IPC_PRIVATE はフラグではなく、 key_t 型である。 この特別な値が key として使用された場合、 msgget ()システムコールは msgflg の下位 9 ビット以外の全てを無視して (成功した場合は) 新しいメッセージ・キューを作成する。
msgget ()システムコールに影響を及ぼすメッセージ・キューの資源の システムとしての制限を以下に示す:
- MSGMNI
- システム全体のメッセージ・キュー数の最大値: 方針依存 (Linux では、この制限値は /proc/sys/kernel/msgmni 経由で参照したり、変更したりできる)。
バグ
IPC_PRIVATE という名前を選んだのはおそらく失敗であろう。 IPC_NEW の方がより明確にその機能を表しているだろう。
準拠
SVr4, POSIX.1-2001.
Linux での注意
Linux 2.3.20 までは、削除が予定されているメッセージ・キューに対して msgget ()を行うと EIDRM がエラーとして返されるようになっていた。
関連項目
msgctl
(2),
msgrcv
(2),
msgsnd
(2),
ftok
(3),
capabilities
(7),
mq_overview
(7),
svipc
(7)